ベルギーにて・レンガと曇り空

ベルギー生活とその周辺を旅した記録

アンネの家 Anne Frank house

私がアンネに出会ったのは小学校3年くらいの頃。祖母の家にあった本棚に、アンネの書いた童話集の本があった。

それ以前に、ナチスによるホロコーストの犠牲となった、ユダヤ人のアンネ フランクという女の子の存在は知っていた。学校の図書館にあった歴史まんがシリーズで読んだのかもしれない。アンネの童話を読んだあと、そのきらきらした想像力に触れ、会ってみたかったな、友達になりたかったな、という憧れに近い気持ちを抱いた。ほどなくしてアンネの日記を手に入れたと思う。

アンネの日記はいつしか私の愛読書となっていた。アンネの紡ぎ出す思春期の女の子の素直な気持ちは、中高生の、同じく思春期だった私の心と強く共鳴した。異性への少し浮ついた気持ち、親への反発、性への興味、書くことへの情熱…少し自惚れ屋で、平和を愛し、人のために生きたいと願った優しいアンネの心の成長…。遠い国の、言葉も文化も違う少女が書いた文章は、驚くほどしっくりと自分の中に浸透していった。アンネの日記は、ナチスドイツの迫害を逃れて隠れ家生活を送る少女が書いた日記、という点においては確かに特殊性がある。しかし、その暗い背景とは対照的に、年頃の女の子の気持ちをまっすぐに描写したものとして、とても瑞々しくさわやかな日記でもあると感じている。長々と書いたが、とにかく私はアンネのファンなのである。

しかし、まさか本当にアンネの過ごした隠れ家に行ける日が来るなんて!

大人気の観光スポットということは知っていたので、念には念を入れて2ヶ月前にオンライン予約。

到着。もともとあった家を取り囲む形で、近代的な建物が目に入る。

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愛読書とともに、入場。
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日記を読み尽くしている私にとっては、中に展示されているものについての知識は豊富にあった。

しかし実際に目にすると、陳腐な言葉になることが惜しいが、言葉にならない。

見学の基本的な流れとしては、アンネの日記の文章とともに、アンネの生い立ちから隠れ家への避難の経緯、そしてゲシュタポに逮捕され強制収容所に連行後、病で亡くなるまでを隠れ家を巡りながら時系列で説明されていく。

アンネの父が経営していたオペクタ商会のポスターや、フランク一家の家族写真、ゆかりのある人々へのインタビュー動画などもある。

 

印象に残ったのは、隠れ家の入り口である、かの有名な回転本棚。そこから急な階段を登り、実際にアンネがデュッセルさんと共有していた小さな部屋に足を踏み入れる。アンネが部屋の壁に貼った映画スターのポスターも残っている。

ダイニングルーム、ペーターの部屋、そしてアンネとペーターが語ったであろう屋根裏部屋へ続くはしご。

アンネは、ここに生きていたんだね。

隠れ家は、想像していた以上に暗かった。当時の様子を再現するために、窓を閉ざしている。住んでいることを悟られないように、日中は光を漏らさず、足音も立てず、水も流せず…どんな生活だったのだろう。日記に語られる以上に、過酷だったに違いない。

 

ずっと行きたかった場所に行くというのは、終わってみると案外あっさりしている。しかし、見学を終えた私はとても満ち足りた気持ちになっていた。少しだけ、またアンネに近づけた気がする。いつか、私が死んだらあの世で友達になれるだろうか。しかしそう考えるアンネのファンは世界中にたくさんいるだろう。アンネの望み通り、アンネは死後も人々の心の中で生き続けている。

今までもこれからも、アンネの日記は私に勇気を与えてくれる大切な本であることは、変わらない。